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=気がついたら海にいた=1998年作?

気がついたら海の上を漂っていた
周りには陸も船もない
いつから泳いでたっけ
足がつかれた

最近は小魚を生で食べるのにも慣れたし
イルカの背につかまって泳ぐことも覚えた
だけどすぐにイルカは深く潜ってしまって
また一人さ迷うことになる

流木を束ねたくても紐がない
波に乗ってきた木につかまりながら
力尽きて死ぬのはいつかを考える

渡り鳥がこの木にとまって
じっとこっちを見た
たかが鳥 だけど
一人ぼっちではなくなった
首まで海に沈みながら空を仰いでいると
その鳥は何度も空高く舞いあがった
何だか無性に惨めで悲しくなったので
手招きをして寄ってきた鳥を
海に沈めた

また一人になった とても悲しくなってきた

前にもこんな気持ちを味わった
あれは船に見捨てられた時
助ける素振りをしておいて
さっさと放り出して行ってしまった
思い出したらもっと寂しくなった

もう泳ぐ力もない
つかれきった頭で
死ぬ前に一度 太陽を拝もうと考える
目を上げたその時 見えてきたのは
あの時の船のようだった
必死に側まで泳いで行って
渾身の力で船底を叩き壊した
近付いてみると あの船でもないようだったが
そんなのはもうどうでもよかった

船が沈んでゆくのを見届けてから 目を閉じた
体が海に飲み込まれていくのがわかった